【海外記事紹介】「Segwit2x」とは何か?水面下でうごめく陰謀と思惑とは…

【解説】「Segwit2x」とは何か?水面下でうごめく陰謀と思惑とは…

Segwit2xの起源

「Segwit2x」はもともと、ビットコインコミュニティがネットワーク上のトランザクション増加に対応するため、ビットコインを拡張する方法について議論をしはじめて以来、長年に渡って語られていたものでした。

主に大手マイナーで構成されているグループでは、ビットコインブロックチェーンのブロックサイズを1MBから増やすことを主張しています。ビットコインのブロックチェーンでは、ブロックは10分毎にマイニングされ、最新のトランザクション全てを含んでいます。

ビットコインのブロックサイズが大きければ大きいほど、1つのブロックに多くのトランザクションを含めることができます。しかしこれを行うためには、ブロックチェーンを2つに分割し、後方互換製のない「ハードフォーク」が必要となってきます。

他のグループはこの考えに合意していないため、ブロックチェーンの分割は安全ではなく、重大なセキュリティリスクをもたらすと主張し、議論となっています。ブロックサイズを大きくしすぎると、ネットワークのトラフィックが増し、殆どのユーザーは自分のノードを実行することが不可能になるといいます。

 

Segwitの実装

結局、スケーリングの問題に答えるため、ビットコインの開発チームは、「Segwit(Segregated Witness、分離署名)」と呼ばれる後方互換性のあるアップグレードで、ソフトフォークを行いました。Segwitにより、トランザクション関連の大きなバグ修正がされ、様々な新機能を実装しました。

特に注目したいのは、遥かに少ないデータしか使用しないトランザクションのタイプで、これにより1MBのブロックに収まるトランザクションが実質的に増えました。「ブロックの重み付け」という概念が導入され、実質的に4MBまでブロックサイズが拡張されたことになります。

さらにSegwitは、ビットコインネットワーク上で安価で素早い決済を行うための「ライトニングネットワーク」の実装も可能にしました。

segwitはネットワークに実装され、マイナーハッシュパワーの95%が対応した時点で有効になりました。segwitへの対応は自主的なものであったにも関わらず、周到な準備が開発段階から行われたため、全てのマイナーが問題なく対応しました。

 

ニューヨーク合意

これによりビットコイン拡張の議論は一時的に静まりました。より大きなブロックサイズへのハードフォークソリューションも発表されましたが、それを提案した当事者以外にはコンセンサスは得られませんでした。

しかし2017年5月、影響力の強いマイナー達は、非公開会合で大手のビットコインビジネスグループと会談し、「Segwit2x」と呼ばれる実装を進めるための「ニューヨーク合意」に至りました。

彼らの考えとしては、この提案をマイナー集団と企業連合で提案すれば、コミュニティの残りの人々はそれに従うことになり、このハードフォークは揉めることなく実行され、既存のビットコインがスムーズに「Segwit2x実装のビットコイン」に切り替わる、ということが大前提でした。

Segwit2xは2017年8月にSegwitがアクティベートされた際にも、ブロックサイズを2MBにするハードフォークを行うように活動をしました。実際のブロックサイズが2MBになれば、Segwitの拡張で実質8MBのブロックサイズということになります。

 

急進的なハードフォークには大きなリスクが

しかし、「ビットコインコア」と呼ばれるオープンソースのビットコイン開発プロセスのトップ開発者は、segwit2xはビットコインネットワークに様々な重大リスクをもたらすと警告しています。

これによりマイナーの集中化が進み、一般ユーザーはノードを実行することができない。そしてこのような急激で大きなハードフォークは、責任あるエンジニアリングとはいえない、と言います。慎重な仕様構築・テストのための時間がなく、新しい攻撃がなされる可能性もあるということです。

このまま行けば、2017年11月18日前後にこのSegwit2xへのハードフォークが実行される可能性が高く、コミュニティでは議論になっています。Segwit2xを主張するメンバーは、Segwit2xから一部のマイナーや企業が離脱したにも関わらず、この提案を指示するマイナーが依然として大多数であると主張します。

もしこのハードフォークが実施される場合、494,784ブロックでチェーンが分割され、新しい「ビットコイン」が誕生することになります。

 

我々一般トレーダーへの影響

あなたがハードフォークのポイントでビットコインを保有していれば、両方のブロックチェーンにそれぞれコインを持つことになります。ウォレットにコインが入れてあれば、「ビットコインキャシュ」のときと同じようにコインを取り出すことができます。

 

しかし問題はビットコインキャッシュやビットコインゴールド以上に複雑です。

 

最大の取引所であるBitfinexなどは、すでに新しいSegwit2xを「B2X」とし対応予定ですが、この問題の当事者ではなかった取引所やサービスは、現段階ではSegwit2xをサポートしないか、あくまでアルトコインとして扱う予定のようです。

Segwit2xは、それ自信が唯一のビットコイン・ブロックチェーンとなり、「ビットコイン」となる、という誤った前提のもとに開発されてしまいました。

この前提では、「元祖ビットコイン」と、「Segwit2x対応ビットコイン(B2X)」の2つのビットコインが同時に併存することを想定していないので、アルトコインのハードフォーク時などに実装する、リプレイ攻撃への対応が欠けています。

ビットコインコアのメンバーからリプレイ保護機能を組み込んでくれと要望が出されていますが、Segwit2xの開発は、あくまで周囲が自分たちに従うべきであるとの態度を取り続け、不誠実な対応を取り続けています。

これにより、一般的に使われているシンプルなウォレットなどでは、どのブロックチェーンがビットコインであるかわからなくなってしまうなどの不具合が懸念されます。

ですので、少なくとも現状のままSegwit2xが進むのであれば、ビットコインを昔ながらのシンプルなウォレットや、このハードフォークについての取扱を明示していないウォレットに保管することはおすすめできませんし、ハードフォークが発生してから暫くの間は、トランザクションを実行すること自体が危険と考えられますので、信頼できる複数のソースが安全であると明言するまでは、ビットコインの使用を控えたほうが懸命でしょう。

 

まとめ

一部の人は、この議論を単にビットコインのブロックサイズの調整の問題と考えていますが、深く読み取ってみると、Segwit2xというプロジェクトには根底に別の動機が存在します。

ニューヨーク同意に署名をしたある人物でさえ、Segwit2xの真の目的は、ビットコインコアを攻撃し、現在のビットコイン開発における分散開発というプロセスを潰すためであるということを認めています。

これによりビットコインのガバナンスモデルを変更し、分散された開発チームではなく、大企業や大手マイナーがプロトコルを自由に制御できるようにする試みなのです。

先物市場ですでに取引されている「B2X」コインは、やはり対BTCでは低い価格となっています。殆どのマイナーは現在、Segwit2xへの対応をサポートする以降を表明していますが、ボランティアではありませんので、最終的に利益の出無いコインとなった場合、対応を打ち切る可能性も出てきます。それに、ハードフォークを取りやめになることを希望しているグループなどは、B2Xがうまく行かなかった場合、どこまでサポートするかも疑問です。

ビットコインは最大の分散型仮想通貨ネットワークであり、トラストレスで管理者のいないシステムだからこそ信頼されているという点があります。もしこの前提がSegeit2xにより崩れてしまった場合、ビットコインの存在そのものに大きな影響が出る可能性があります。