【書評】『デジタル・ゴールド』ビットコイン草創期からの歴史をドキュメンタリーとして学べる良書

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ナサニエル・ポッパー『デジタル・ゴールド』

今回はNYタイムズの記者であるナサニエル・ポッパー氏の『デジタル・ゴールド』を紹介したいと思います。

この本は、ビットコイン黎明期の2009年、謎の技術者「サトシ・ナカモト」がメーリングリストに一通のデジタル通貨に関する解説を投稿した、歴史的な瞬間から、2014年のマウントゴックス破綻前後までを追った、濃厚なドキュメンタリーです。

ビットコイン解説書ではなく優れたドキュメンタリー

「ビットコイン」「仮想通貨」「ブロックチェーン」がトレンドということもあり、これらに関連する入門書、解説書、技術書などは次々と出版されています。

しかしこれらとは違い、本書はビットコイン関係者に綿密な取材を行い、「その瞬間」に一体何が起こっていたのかを解き明かすドキュメンタリーとなっています。

立場としてはビットコイン寄りの記述ではありますが、ビットコインの暗部、「シルクロード」などにもかなり詳しく触れ、単なる仮想通貨礼賛では終わっていないところも優れている点だと思います。

技術的な解説はあえてはしょっている

本書はビットコイン黎明期・揺籃期における界隈の事件を時系列に沿って記述しており、ビットコインの理念や思想がどう変遷していったか、ビットコインをビジネスチャンスと捉えた人間達がどのように動いたかという部分がメインになっています。

そのため、一般的な解説書などにあるような「ブロックチェーン」などの解説はほぼありません(巻末に解説パートがくっついている)。ですので、まず本書を読む前に超基礎レベルの話は以下の本などで知っておくと良いかもしれません。

『1時間でわかるビットコイン入門』初心者におすすめの仮想通貨入門書

ここまで大きなうねりだったのかと思わされる

日本語の情報のみで生活しているとごくごく最近までビットコインについては殆ど知らなかった人も多いと思いますが、本書を読んでいると、度々各メディアに取り上げられ、アルゼンチン・中国などでも大きな動きとなっていたことがわかります。

本書ではマウントゴックスが日本を拠点としていたこともあり、日本での話も出てきますが、ビットコインの動向自体は日本は全く蚊帳の外です。現在の日本が世界経済の中心地ではなくなっていることを表しているのか、それとも英語メディアとの情報の隔たりなのかはわかりませんが、読んでいて残念だなあと思ってしまう部分も多く出てきます。

自分がその時、何ができたか?を考える

これだけビットコインがブームのような状態になっており、なかには「あの時に自分もビットコインを入手することができたのでは…?」と思うような人も多いと思います。本書は時系列順に沿って記述されているので、読み進めるに並行して、「自分が当時ビットコインについて何を知っていたか?」「本当に当時、参入するチャンスはあったか?」ということを想像しながら読むのも楽しみ方の一つです。

多くの日本人が初めてビットコインのことを耳にしたのはマウントゴックス破綻のニュースだと思いますが、この当時にはすでにかなりの値段になっていました。

実際私もシルクロードなどの話題などはどこかで耳にはしていたものの、ビットコインを詳しく調べたのはこの前後であるし、下手するとそれ以前に知っていたらマウントゴックス破綻に巻き込まれて全部を失っていた可能性もあると思い、いままで「初期の頃に買えていれば…」と思って悔しく思っていた心になんとか折り合いを付けることができた気がしました(笑)。

まとめ

世の中にはビットコインの解説書や投資術などの本が溢れかえろうとしていますが、「まずそもそもビットコインとは何か?」「ビットコインの理念とは?そして現在それがどう変化してしまっているか?」などを原点に帰って見返すことも必要だと思います。

資産運用に焦る前に、まずは自分が投資しようとしているものはいったい何なのか?ということを、ぜひ詳しく知ってください。

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